Diary 雑記

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7月28日の夜、ずっと我が家の一員だったパグ犬のピーナッツが死んだ。強心剤に反応しなくなり、心電図のモニターから波形が消えたのが午後9時37分。その直後に獣医師が人工呼吸器を外した。12年11ヵ月の生涯だった。

子供のいない我が家で、甘やかされ放題に育ったせいで、ピーナッツはわがままで、自分勝手で、甘ったれで、臆病で、不愉快なことがあるとすぐに逆上するという悪い性格だった。「こんな犬、いついなくなっても平気だろう」と思っていた。けれど、現実はそうではなかった。

妻は自宅に連れ帰ったピーナッツの遺体の前で一晩中、泣き続け、翌朝は顔が腫れ上がって容姿が変わってしまった。もう、人生で泣くことなんてないと思っていたのに、僕も随分と涙してしまった。

さて、翌日から我が家では、ピーナッツのいない生活が始まった。

 はっきり言うと、犬を飼っていないほうが人生は楽だ。 朝いちばんの散歩や、雨の日の散歩や、こちらが疲れ切っている時の散歩のことで悩まなくていい。夫婦で家を留守にする時に明かりをつけっぱなしにしておく必要も、エアコンをつけておく必要もない。マンションの消防設備点検や排水溝の清掃などで業者の人が室内に入って来る時に、ピーナッツがじゃれつかないように抱いている必要もない。毛も散らないし、床も汚れないし、雨が降っても部屋の中が動物臭くならない。決闘しながらシャンプーをする必要もないし、決闘しながら爪切りをする必要もない。老犬になってからは随分と食事に気を使い、少しでも食欲が落ちるとひどく心配したが、もうそんなことで悩むこともない。海外への旅行にだってこれからは、思う存分、何日でも行っていられる。

そう。犬がいないというだけで、人生は本当に楽になる。

それでも・・・僕が窓辺に腰掛けてベランダの花を眺めながら煙草をふかしている時、ピーナッツが背中に鼻をこすりつけてこないのが寂しい。仕事をしている時、いつもいつも僕の足にまとわりついて、暑苦しくて、鬱陶しかったピーナッツがいないのが寂しい。明け方まで仕事をしてまだ眠いのに、散歩に行こうとしつこく起こしに来たピーナッツがいないのが寂しい。 きのうもきょうも、僕は仕事をしていない。ピーナッツが子供だった頃に噛んでできた家具の傷などを、ただぼんやりと眺めている。

こんなことなら、前回のこの欄で書いた子猫を飼ってればよかったな。

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