Diary 雑記

08

12月になって、妻がセーターを出してくれた。

お気に入りの濃紺のセーターだ。喜んで袖を通した。

そうしたら・・・セーターに、7月に死んだパグ犬のピーナッツのキャメル色の毛が付いていた。

ああっ、この春、僕がこのセーターを着ていた時には、まだピーナッツがいたんだ。

僕が仕事をしているあいだずっと、ピーナッツがまとわリついて、いつも夕方にはセーターが毛だらけになってしまって、妻にコロコロでピーナッツの毛を取り除いてもらっていたんだ。

そう思ったら、涙ぐんでしまって、その日はまったく仕事ができなかった。

「春が来たって何になる? あの子が帰って来るじゃなし」

そんな詩が中原中也にあった。

まったく、その通りだ。

「オールド・ボーイ」は増刷になった。「アンダ−・ユア・ベッド」も「殺人勤務医」も「自由殺人」も「湘南人肉医」もまた増刷になった。死に物狂いで「THE JUON/呪怨」も書き上げた。河出書房新社へのオリジナル長篇も書いたし、光文社への短編も書いた。ハリウッド映画の「THE JUON」は記録的な大ヒットだ。「オールド・ボーイ」もまずまずの評判だ。春には「湘南人肉医」を原作にした映画「最後の晩餐」も公開になる。けれど・・・

けれど・・・だから、何だというのだろう? ピーナッツがここに帰って来るわけじゃない。

ああ、僕のピーナッツ・・・もし、1千万円でピーナッツが買えるなら、僕は絶対に買うだろう。もし、5千万円だと言われても、やはり僕は借金をしまくって、何とかして買おうとするだろう。1億円だと言われても買おうとするかもしれない。いや・・・絶対に買おうとするだろう。それどころか・・・たとえ人生のすべてを失うとしても・・・たとえ何を犠牲にしても・・・僕はピーナッツを買おうとするだろう。

おや・・・涙しながらこれを書いていたら、いつの間にかチンチラのお菊が足元にいた。いつもつれないのに、こちらを見上げて何だか心配そうだ。

しかたがない。人生は、しかたなのないことばかりだ。

きょうは父の「喪中欠礼」のハガキの印刷が上がって来た。今週の日曜は、妻の父の17回忌だ。そういうことだ。

諸行無常。

いつまでも生きていられるわけではないのだから、せめて、人を裏切らないようにしよう。恥ずかしい生き方はしないようにしよう。みっともない生き方はしないようにしよう。

さて・・・明日は気を取り直して小説を書くぞっ!!

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