Diary 雑記

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映画「甘い鞭」の撮影を見学させていただくために、調布にある角川大映スタジオに行って来た。

基本的に僕は映画の撮影現場には行かないことにしている。撮影現場というのは、本当にみんなが忙しくて、原作者が顔を出しても迷惑がかかるだけだからだ(僕が行くと、忙しいにもかかわらず、誰かがそばで僕の世話をするはめになります)。

それでも、角川ホラー文庫の女性編集長が、「大石さん、行きましょうよ」と強く誘ってくれたので、今回は重い腰を上げて撮影見学に行くことにした。

さて、この日は主人公のセリカ(岬奈緒子)が、真性サディストである客の神山と初めて会うシーンである。とてつもなく踵の高いパンプスを履いた主演女優(綺麗でスタイルのいい女性ですが、まだ名前は内緒です)がバスローブ姿の神山の前に立ち、「木下さんの紹介で来ました。セリカです」と言い、男が「お前、ここから生きて帰れると思うな」と言う、あのシーンである。

ラストのほうの撮影は、比較的、ストーリーの順番通りに撮られることになっていたから、その後は小説のラストと同じような凄絶なシーンが次々と予定されていた。

撮影の現場に行くたびに思うのだが、1本の映画を撮り上げるというのは、本当に大変な作業の連続である。ひとつのシーンを撮るのに、とてつもなく長い時間と、たくさんの人の手間がかかるのだ。スタッフはもちろん、ものすごく大変で、ひとり残らずとても忙しいのだが……今回の「甘い鞭」ではキャストたち、特に鞭打たれる3人の女優が本当に大変だった。

監督の隣に座らせてもらった僕の目の前で(監督用のヘッドフォンまで貸してもらいました)、主演女優はサディストの男に鞭打たれ、突き飛ばされ、髪を鷲掴みにされて引きずられていた。それは目を逸らしたくなるほどの残酷さだった。おまけにパンプスの踵が高すぎるものだから、主演女優は躓いて、転んで、捻挫をしてしまった。

その後のシーンでは、主演女優は荒縄で縛り上げられ、吊るされた。ものすごく強く縛られた上に、撮影時間がとても長いので、血が通わなくなり、女優の手の先は氷のように冷たくなっていた。ハイヒールで立っているのも辛そうだった。

「大石さんがあんなにひどいことを書いたから、わたしはこんなひどい目に遭わされています」

主演女優が泣きそうな顔で僕に言い、僕は申し訳なさでいっぱいになった。

ごめんなさい。許してくださいね。

でも、主演女優は本当に頑張って、過酷なシーンの撮影に耐えていた。みなさん、彼女の迫真の演技、ご期待ください。

実は主演女優だけでなく、その前日までは岬奈緒子の少女時代を演じてくれた若い女優さんが、鞭打たれ、縛り上げられ、何度もレイプされ、本当にひどい目に遭わされていたらしい。僕は見ていないが、プロデューサーが「彼女も頑張ってましたよ。撮影が終わった時には、全身、傷だらけ、アザだらけでした」と教えてくれた。

○○さん、僕のせいで、本当にすみません。

夜には全裸にされた主演女優がメチャクチャに鞭打たれ、血みどろになるシーンが控えていて、プロデューサーも「ぜひ、見て行ってください」と言ったのだが、主演女優にまた「大石さんのせいです」と言われそうなので、早々に帰らせてもらった。

28日には撮影は、大きな事故もなく、無事にクランクアップしたようです。劇場公開は来年6月。みなさま、楽しみにしていてください。僕も映画の完成をとても楽しみにしています。何といっても、監督はあの巨匠、主演女優は人気のあの人ですからね。

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