Diary 雑記

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用なしになったサイフォン

福谷監督と僕

 映画「最後の晩餐」が「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2005」のオープニング・ナイトを飾るというので、その舞台挨拶をするために真冬の北海道に出かけて行った。

実を言うと、最初は行かないつもりだった。僕は元々が家にこもりがちで出無精だし、僕が行ったからといって、どうなるものでもないと思ったからだ。

けれど、少しして気が変わった。自分の小説が映画になって映画祭に呼ばれるなんて、もしかしたらこれが最初で最後かもしれないと考えたのだ。

そんなわけで、妻をともない、急きょ夕張に出かけることにした。

僕にメイクする西村さん

僕にメイクする西村さん

 「行く」と決めたのが映画祭の直前だったので、夕張市内のホテルはどこも満室で予約ができず、ようやく予約ができたのはシャンプー・リンスどころか、タオルも浴衣も、歯ブラシさえもないという凄まじい民宿だった。

「うーん。こんなことなら、やっぱり来なければよかった」

民宿にチェックインし、畳の黄ばんだ8畳の部屋を見回した瞬間に激しく後悔し、そのまま帰ろうかと思ったぐらいである。

メイク完了!

メイク完了!

だが、もちろん、帰るわけにはいかない。映画祭のプログラムには、すでに僕の名前が福谷修監督と並んで印刷されているのだ。

宿の惨めさには目をつぶることにして、僕は映画祭の会場に向かった。

三輪ひとみさんの生首と

三輪ひとみさんの生首と

宿は最低だったけれど、映画祭自体はとても華やかで、楽しかった。僕が舞台挨拶に来たことで福谷監督はとても喜んでくれた。間近に見る深田恭子さんは可愛かったし、奥田瑛二さんはダンディだった。開会式の直後に行われたパーティでは、大勢の監督や俳優・女優の方々、さらには読者の方々とお近づきにもなれた。ふだん、家の中にしかいない僕には、それは新鮮な体験だった。

初日の深夜には「最後の晩餐」が上映された。夜中の11時半からの上映だったにもかかわらず、気温-10度という猛烈な寒さの中、非常にたくさんの方が会場に詰め掛けてくれた。福谷監督も感激していたが、僕もものすごく感動した。

支笏湖畔で

支笏湖畔で

翌日には日野日出志さんの漫画を原作にした映画を何本も見た。会場には日野さんがいらして、興味深いホラー談義を聞かせていただいた。おまけに、特殊メイクの専門科・西村喜廣さんから、僕の頬に火傷の火ぶくれの特殊メイクまでしてもらってしまった。

夕張の温泉では雪原の中の露天風呂をひとりじめできたし、翌日から宿泊した千歳では連日、海の幸をたっぷりと堪能した。ついでに支笏湖や登別温泉にも行って来た。そんなふうにして、映画三昧の旅は瞬く間に終わってしまった。今は本当に行ってよかったな、と思っている。

できることなら・・・またいつか、誰かが僕の小説を映画にしてくれて、そしてまた、どこかの映画祭に呼んでもらえたらいいな。

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