Diary 雑記

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この夏、僕はほとんど自宅から出ず、一階のリビングダイニングルールのテーブルでずっと執筆をしていた。家の中ではこのリビングダイニングルールがいちばん涼しいからだ。

そんな僕の向かいでは、妻がずっと勉強に励んでいた。ワインエキスパートという資格試験の勉強である。

日本ソムリエ協会が認定している資格試験には、飲食店従業員のみが受けられる「ワインソムリエ」、酒造会社やワインショップの従業員などが受けられる「ワインアドバイザー」、そして、一般人が受験できる「ワインエキスパート」の三つがある。この三つの資格の中ではワインエキスパートは群を抜いて難しいとされている。

妻はこの難関に挑んだ。4ヵ月間、ほぼ毎日、5時間前後の猛勉強を続けたのだ。

この一次試験は8月19日にあった。僕は緊張とは縁のないちゃらんぽらんな男なのだが、この日に限ってはドキドキしてしまって、妻が試験に出かけているあいだ、仕事がまったく手につかなかった。

試験を終えて帰宅した妻は、結果について自信なさそうに「微妙」と答えた。

「そうか。微妙か……」

僕は笑った。けれど、内心では合格しただろうと思っていた。妻の話を聞いて、何となく、そう感じたのだ。

それでも、結果が出るまではドキドキし続けた。あんなに頑張っていたのに、もし落ちていたら……そう思うと夜もよく眠れなかった。努力が必ず報われるわけではないと、今では嫌というほど思い知らされていたから。

一次試験の結果は21日の正午にインターネットで発表された。

「自分じゃ見られない」

そう訴える妻に代わり、僕がパソコンを立ち上げて結果を見た。

結果は合格である!! 妻の受験番号があったのだ!!

「あった!! 合格だっ!!」

僕は叫んだ。

その瞬間、妻は泣いていた。僕も泣きそうだった。

その晩、僕たちは高価なブルゴーニュの白ワインを開けて妻の一次試験の合格を祝った。

結婚してからいちばん嬉しかったことは、今までは妻が原付免許を取得した時だった。けれど、今はこのワインエキスパート一次試験合格がいちばん嬉しいことになった。

翌日は行きつけの麻布十番のイタリア料理店でお祝いをした。週末にはワイン教室の人々が妻の快挙を祝ってくれた。

めでたし、めでたし……と終わりたいところですが、実はまだ二次試験があるのです。

9月17日の二次試験はテイスティングです。2種類の白ワインと、2種類の赤ワインを飲み、その葡萄品種、生産地、生産年を当てるという難しい物です。さらに、2種類のリキュールの銘柄も当てなければなりません。

そんなわけで、妻は今も僕の目の前でワインの勉強に励んでおります。

二次試験も合格するといいなあ。

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