Diary 雑記

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20周年パーティーの様子120周年パーティーの様子2

今から20年前,1993年の10月7日の夜、河出書房新社の「文藝」編集部の吉田さんという男性編集者から自宅に電話があった。吉田さんは今の「文藝」編集長の高木れい子さんの旦那さんである。

その吉田さんが、僕の書いた「履き忘れたもう片方の靴」という小説が第30回文藝賞の佳作になったと伝えてくれた。

静かな雨の降る夜だった。少し肌寒かったと記憶している。

その日はたまたま妻の誕生日でもあったので,僕たちはお祝いのために平塚の繁華街に繰り出した。

当時の僕たちは貧乏だった(今もお金持ちではありませんが)から、僕たちが向かったのは特別な店ではなく,薄汚れた行きつけの居酒屋だった。

あの日,妻と僕は祝杯をあげた。けれど、嬉しかったという記憶はない。ただ、これからしばらく、小説を書いてみようと思っただけである。

あれから20年もの時間が過ぎた。僕は必死で小説を書き続けた。12月に幻冬舎アウトロー文庫から出る予定の「薔薇の足枷」が実に47冊目の本ということになる(単行本から文庫化されたものや,外国語に翻訳された本は除く)。

そんなにも長いあいだ書き続けて来られたのは,読者のみなさまと編集者の人々のおかげである。

読者のみなさま,ありがとうございます。

というわけで、今年の10月7日の夜、僕はお世話になった17人の編集者を麻布十番の行きつけのイタリア料理店にお招きし,ささやかな宴を催した。ついでではあるが、妻の誕生日のお祝いもした。

それはとても楽しい宴になった。編集者のひとりひとりから、暖かいお祝いの言葉もいただいた。20年、ずっと僕を支え続けてくれた妻も、とても嬉しそうにしていた。

その後はみんなで、やはり僕の行きつけの渋谷道玄坂上のウィスキーバーに繰り出した。そして、深夜の2:00近くまで騒いだ。

こんな日が本当にやって来るなんて……。

僕にとって、それは夢のような夜だった。

できることなら、5年後にまた今夜のような宴を催したい。10年後にはデビュー30周年のお祝いをしたい。

あの晩,僕はそんなふうに思ったのでした。そうなるといいなあ。

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