Diary 雑記

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小説を書くという趣味が仕事になったせいで、今では僕には趣味がひとつもなくなった。一応、14年近く肺魚の飼育を続けているし、15年以上にわたって盆栽の世話はしているけれど、それにしたって趣味と呼べるほどのものではない。

そんな今の僕にとって、唯一の楽しみはお酒である。

我が家では毎晩、妻が手の込んだ料理の数々を作り、それに合うワインを選んでくれる。午後10時半頃に仕事を終えて食卓に向かい、妻とワイングラスを触れ合わせる瞬間は、まさに至福の時である。

ああっ、生きていてよかった……という感じなのだ。

けれど、このお酒。最近は少し問題が出て来た。酔うと記憶がなくなるのである。

昔はどれほど飲んでも記憶がなくなるなんていうことはなかった。へべれけになって、駅のトイレで嘔吐し続けていた時だって、頭だけははっきりとしていた。

けれど……最近の僕はそうではない。特に、外で飲んだ時のことを、僕はいつも、よく覚えていないのだ。

これはかなりの恐怖である。

僕たち夫婦は毎月一度、町田市街で行われるワイン教室に通っている。このワイン教室のあとでは、受講生みんなで必ず居酒屋に繰り出す。その後はたいてい、ウィスキーバーに行く。幼馴染みで青葉台に実家がある徳間書店の木村くんと、妻と僕の3人は、青葉台に戻って来てからも、さらにもう一軒、バーや居酒屋に行くのである。

ワイン教室の仲間は気の合う人たちばかりで、これはとても楽しい時間である。

けれど、三次会のウィスキーバーでの僕の記憶は、いつもかなり曖昧で、自分が何を注文したのかさえ覚えていないことが少なくないのだ。

自宅のある青葉台に戻ってから行くバーや居酒屋ではまた記憶が戻るのだが、三次会のウィスキーバーでの記憶だけが、しばしば、ぽっかりと欠落している。

まあ、その時は妻が隣にいるから、大きな問題はない(僕は行儀の悪いことをしていないと妻が証言している)。

問題なのは、妻が一緒でない時だ。

たとえば、僕はしばしば出版社の編集者たちと渋谷や新宿に飲みに行く。たいてい、最初は編集者がご馳走してくれて、二次会は僕がお礼に行きつけのウィスキーバーでご馳走をするというパターンである(奢られたら、奢り返すというのは、僕のポリシーです)。

けれど、この二次会での記憶がいつも曖昧なのだ。時には、ほとんど覚えていなくて、気がつくと、タクシーで自宅に帰って来ていたりするのだ(気がつくと、自宅のベッドで寝ていることもあります)。

ウィスキーバーでの僕は、いったい何をしていたのだろう?

翌日、僕はいつも強い不安に駆られる。

男だけの時はまだいいが(裸踊りをしても赦されます)、編集者には女性も少なくない。そんな彼女たちに、何か失礼なことを言ったり、したり(セクハラのことです)したのではないか……そんな不安がこみ上げるのだ。

ウィスキーバーのバーテンダーたちによれば、僕はいつも行儀がいいということだが、もしかしたらそれは嘘で、本当は女性編集者の太腿を撫でたり、肩を抱いたりして、嫌がられているのかもしれない。

つい最近は酔っ払って妻と喧嘩をし、僕は妻を蹴飛ばして(そういうことをしたのは初めてです)、離婚されそうになった。

自分が妻を蹴飛ばしたなんて、とても信じられなかったが、僕に蹴られたという脚の痣を見せられては、ただただ謝罪するしかなかった。

そういうわけで、最近の僕はお酒が怖くもあるのです。

もしかしたら、僕はお酒で破滅するタイプの人なのかもしれません。気をつけないとなあ。

と言いつつも……今夜も僕はワインを飲むのです。

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