Diary 雑記

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5年ほど前から、夫婦でワイン教室に通っている。ワインアドバイザーでワイン研究家の安藤文隆さん(僕より4つ年上です)が、町田市街で主宰する教室である。

この教室の講座では毎月、6本のワインが出る。すべてがフランス産のかなり美味しいワインである。で、このワインを飲みながら、講座は進むのだが……何をするというわけでもない。安藤さんがどうでもいいことを喋り、僕たち生徒もどうでもいいことを喋り、ただ、ただワインを飲むだけという講座である(時にはワインの話もしますけどね)。

教室のあとは必ず二次会に行く(二次会は居酒屋です。ワインではなく、ビールや焼酎や日本酒を飲みます)。三次会,四次会と飲み歩くことも少なくない。つまり、勉強というよりは、「ただ飲むだけ」という意味合いの強い「ゆるーい」講座なのである(ワイン教室の生徒たちは老若男女さまざまで、仕事や経歴もさまざまですが、みんなきわめて仲がいいので、これは本当に楽しい夜になります)。

そんな「ゆるーい」講座ではあるが、この講座に通ったことによって、僕は人生が変わったような気がする。ワインという巨大な楽しみが僕の人生に加わったのである。

そういう意味では、安藤さんは僕の恩人なのである。僕は彼の協力を得て、「殺人鬼を飼う女」というワインを題材にした小説まで書き上げた。

その安藤さん、8月31日に我が家に来ることになっていた。9月16日のワインエキスパート二次試験に向けての、テイスティングの勉強会である(去年、妻は一次試験に合格しましたが、二次のテイスティング試験には落ちてしまいました。今年は一次試験免除で、二次試験から受けます)。

けれど、直前になって、安藤さんから「申し訳ないのですが、行けなくなりました」という連絡があった。したかなく、同じ教室からやはり二次試験に挑む男性(ワイン教室の最古参)とその奥さんを招いて勉強会を開催した(僕が三人に銘柄を教えずにワインを注ぎ、三人が色と香りと味でワインの葡萄品種,生産年,生産国を当てます)。

安藤さんが脳出血で倒れたという連絡を受けたのは、その翌日、9月1日のことである。

僕たち夫婦はびっくりした。けれど、心の中では「やっぱり」と思うこともあった。

安藤さんはすごく太っていた。その上、「快楽主義者」を自認していて、ダイエットをするような人間が嫌いで、健康にはきわめて無頓着だったからだ(僕はしばしば安藤さんに、「少しは痩せたほうがいいですよ。せめて運動したほうがいいですよ。そうしないと、倒れますよ」と言っていた)。

安藤さんの報を受けて、ワイン教室の生徒たちは次々と病院に駆けつけた。僕たち夫婦もトリコロールカラーの花束を持ってお見舞いに行った(安藤さんはフランスかぶれです)。

幸いなことに、安藤さんの病状はそれほど深刻ではなく、意識もはっきりとしていた。病院の健康食を食べ、酒を飲んでいないせいで、顔色も良く、前より痩せて健康的に見えたほどだ。

それでも、今も身体には多少の麻痺が残っている。言語や記憶も少しあやふやだ。そのために、9月と10月のワイン教室は中止になってしまった。この教室を楽しみにしていた生徒たちは、みんな、がっかりとしている。

安藤さんは今、一日も早いワイン教室の再開を目指してリハビリに励んでいる。そして、僕たちワイン教室の面々は、彼の一日も早い復帰を心から願っているのです。

安藤さん、みんな待ってるので、頑張ってくださいね。

追伸/ワインエキスパートの二次試験の結果は10月3日ですが、安藤教室から挑んだふたりは、どちらも合格のようです。妻はなんと、すべてのワインの葡萄品種と、すべてのワインの生産国を正解しました。2種のリキュール類まで正解しました。これで当選確実です。一年の苦労が報われました。僕もほっとしています。

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