Diary 雑記

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ドイツの旅客機が墜落し、150もの命が失われた。報道によれば、コックピットから機長を閉め出した副操縦士が、故意に墜落させたらしい。

それを聞いた時にはゾッとした。かつて書いた「邪な囁き」という小説によく似ていたからだ。

そう。「邪な囁き」では、やはり副操縦士だった正田正義が、繁華街の雑踏に故意にジャンボジェット機を墜落させたのだ。そして、恐ろしくたくさんの人々が犠牲になったのだ。

もちろん、ドイツ人の副操縦士が僕の本を読んだはずはない。だから、今回の事件と「邪な囁き」は無関係に違いないのだが、こういうことがあると、僕は何となく嫌な気持ちになる。自分が共犯者になってしまったような気分になるのである。

これまでにも何度か、こんなことはあった。僕が書いたような事件が、実際に起きたのだ。

「60秒の煉獄」に収録された「地獄に道連れ」という作品を書いたあとでは、秋葉原のあの事件が起きた。「死人を恋う」を書いたあとにも、似たような事件があった。

あからさまに非難されたことはないが、僕の書くものを忌まわしく思っている人は、実際にいるのだろう。

実は今も、僕は忌まわしくて、おぞましい、連続殺人の物語を構想中である。国際空港の近くのホテル内で、そのホテルのハウスキーパーとして働く男によって引き起こされる連続無差別殺人を題材にした物語である。

ドイツ旅客機が墜落するまで、僕は嬉々としてこの構想をしていた。ものすごくスリリングで、迫力のある話になりそうな気がしていたのだ。

けれど、副操縦士が故意に旅客機を墜落させたと聞いてからは、何となく書く気になれないでいる。もし、僕がこれを書いてしまったら、そういう事件が実際に起こりそうな気がするのだ。

うーん。これからはおぞましい物語や悪意に満ちた小説はいっさいやめて、官能小説やラブストーリーだけを書いたほうがいいのだろうか? そうすれば、こういう嫌な気分にならずに済むのだろうか?

ここ数日、僕はそんなことを考えて暮らしています。

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