Diary 雑記

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ワインエキスパートコンテストの決勝戦の様子を見るために、妻とふたりで高知市に行ってきた。生まれて初めての四国への旅だった。

僕たちはコンテストが行われるホテルに宿泊したのだが、この日には世界のワイン200種類をテイスティングできるというイベントもあって、僕も100種近くのワインをテイスティングして楽しんだ。ワインエキスパートコンテストの予選、準決勝を勝ち抜いた三人による決勝戦も、スリリングで、目を離せなかった(彼らの注意力、味覚、嗅覚、どれも抜群です。一般常識の知識の広さにも頭が下がります)。

それにしても、ワインとはつくづく不思議な飲み物だと、高知に行って改めて実感した。

基本的にワインの原料は葡萄だけで、日本酒やウィスキーとは違って、水は一滴も必要としない。世界のどこでも、葡萄だけを使い、たいていは同じような製法でワインが作られる。

そう。スーパーマーケットで一本500円で売られているワインも、一本一万円のワインも、数十万円もするワインも、すべて原料は葡萄だけなのだ。

それなのに……いや、だからこそなのか……出来上がったワインの味や香りは、その土地・その土地によって、千差万別である。

テロワールによる違い。

ワイン好きの人々は、その理由をそんなふうに表現している。

つまり、その土地の土壌や気候、降雨量、日照量……さらに、葡萄畑の傾斜角や、その向き、風の受け方、葡萄の樹齢などによって、ワインの味はびっくりするほど変化するのだ(道を一本隔てただけの畑で作られたワインでも、驚くほどに味が違うことがあります)。

けれど、ワイン教室に通うまでの僕には、ワインの味や香りの違いはまったくわからなかった(今もわかっているわけではありませんが)。

初めてワイン教室に行った日のことはよく覚えている。

講座の一本目のワインをテイスティングした時、講師の安藤さんに「どんな香りがしますか?」と尋ねられた僕は、「ワインの香りがします」と答えたのだ(笑)。

すでに安藤さんのワイン教室で、僕たちは400本を超えるワインを飲んだ。その記念すべき一本目は、「アルザス・リースリング」で、葡萄の産地はフランスのアルザス地方、葡萄品種はリースリングだった。

このリースリングの特徴は鋭い酸と、「ペトロール」と呼ばれる独特の香りである(田崎信也さんはこの香りを「キューピー人形のにおい」と称している)。

けれど、6年前の僕には、その香りはまったく嗅ぎ取れなかった。鋭くて尖った酸も、はっきりとは認識できなかった。いつも飲んでる1000円の安ワインと、同じようなものに思われたのだ(それはそれで、幸せだったのかな?)。

今では僕にも「ペトロール」は嗅ぎ取れる。酸の鋭さも認識できる。そして、そのワインが自分の好みなのか、そうではないのかが、かなりはっきりとわかる。

そう。少なくとも、ワインと向き合う時の僕は、6年前の僕ではないのだ。

こうなってくると、ワインはますます楽しい。妻は僕より嗅覚も味覚も圧倒的に鋭いので、ふたりでワインを飲むと、さらに楽しい。

ワインを知らない時も、人生はそれなりに豊かだった。けれど、ワインと親しんでいる今は、かつてよりさらに豊かになった気がする。

そういう意味では、ワインは僕たち夫婦の人生を変えたのである。

今回、高知市でワインエキスパートコンテストの決勝戦を見た妻は、「三年後には絶対に決勝戦に残る」と宣言した(今年の妻は予選で敗れました。次のコンテストは三年後です)。

僕は今、それを楽しみにしているのです。

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