Diary 雑記

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10日あまり海外に出かけていた。

僕は外国を旅するのがとても好きで、年に2回、時には3回、10日〜2週間くらいの旅に出る。

旅に出る時はいつも何冊かの本を持っていくのだが、どんな時でも必ず持参する本が1冊だけある。

アルフレッド・ランシングという人の書いた「エンデュアランス号漂流」(新潮社)というノンフィクションである。

1914年、イギリスの極地探検家アーネスト・シャクルトンは27人の隊員を率いて、かつて誰も成し遂げたことのない南極大陸横断の旅に向かう。しかし、その途中、まだ南極大陸に上陸する前に船(エンデュアランス号)は氷の海に閉じ込められ、やがて船は分厚い氷に押しつぶされて貴重な荷物や食料と一緒に南極の海に沈んでしてしまう。そんな絶望的な状況の中で、隊員たちは氷上を歩いて550キロかなたのポーレ島を目指すことにする。

当時は無線もなく、救助を求めるどころか、彼らが南極の氷の上でさまよっていることを誰かに伝えることもできなかった。ヘリコプターなどなく、たとえどれほど待っていても、救助隊が来る可能性はまったくなかったのだ。これ以上の完全な孤立があるだろうか?

慢性的な食料の不足、マイナス25度になもる猛烈な寒さ、肉体を蝕む疲労、そして病気・・・想像を絶するほど過酷な試練を乗り越えて、隊長シャクルトンを含む28人の隊員たちは、実に1年半におよぶ極限の旅の果てに、ついに全員が奇跡の生還を果たす。

結局は失敗に終わったこのシャクルトンの冒険は、アムンゼンやスコットの陰に隠れて一般にはほとんど知られていない。だが、彼らが成し遂げたことは南極大陸横断以上のものだったことは間違いない。

後ろ向き人間を自負する僕らしくもないけれど、読むたびに勇気を与えられる気がする。

旅が好きと言っても、僕の旅はとてつもなく気楽なもので、この南極探検隊とは比べるべくもないものだ。けれど、旅先でこの本を読むと、家で読んでいる時よりほんの少しだけだが、より多く彼らに感情移入できるように感じられる。

僕は長いあいだ求人広告の仕事に携わっていたのだけれど、この冒険に出かける時にシャクルトンがロンドンの新聞に出した広告が世界で最初の求人広告だと言われている。それは次のようなものだ。

「求む男子。至難の旅。僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生還の保証なし。成功の暁には名誉と賞賛を得る」

驚くことに、この広告には3人の女性を含む5,000人以上の応募者が殺到したという。そうなんです。男の子は(僕はおじさんですが)旅に憧れるものなのです。未知のもの、危険なものに恋い焦がれるものなのです。

少し前、イラクで武装勢力に拉致されて「小泉さん、助けてください」と言いながら殺されてしまった20代の若者がいたけれど、僕には彼を責めることはできない。「行ってはいけない」と言われれば言われるほど、そこに行きたくなるのは男の子の本能のようなものなのだ。

「エンデュアランス号漂流」には食べ物の記述が多い。飢餓に瀕した隊員たちは必死でアザラシやペンギンを狩り、わずかな食べ物を公平に分け合う。そのアザラシステーキやペンギンシチューがものすごくおいしそうに感じられるのも、この本のいいところです。

世界のあちこちに持って歩いたこの本、今度はどの国で開くことになるのかな? それを考えると、楽しみです。

あれっ・・・今回は稚拙で、取り留めのない読書感想文になってしまいました。読んでいただいたみなさん、ごめんなさい。

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