Diary 雑記

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つい先日、ワイン教室を主宰する安藤文隆さんに誘われて、安藤さんの古くからの友人、Nさん宅に夫婦でお邪魔することになった。Nさんはお医者さんで、今は安藤さんの青山のワイン教室にご夫婦で通っている(僕たち夫婦は町田教室です)。

このNさん、白金高輪台のマンション住まいなのだが、行ってみて驚いた。何というか……信じられないほどにゴージャスなのである。

坂の途中にあるマンションに入ると(白金や麻布は坂ばかりの町です)、磨き上げられたエントランスホールには池と水路があり(屋内にですよ)、高級ホテルのロビーのような広々とした空間にゆったりとしたソファのセットや洋書の並ぶ巨大な本棚が置かれていた。

「すごいマンション。びっくりぽんね」

妻が目を丸くして言った。

けれど、驚くのはまだ早かった。180平方メートルもあるというNさんの部屋は、広いだけでなく、隅々までが片付いていて、生活を感じさせるようなものがいっさいなく、まさにリゾートホテルそのものだったのだ。

かつては画家を目指したというNさんは絵が好きで、どこまでも続く廊下の壁には(我が家には廊下なんてありません)たくさんの絵画が飾られていた。すべて本物で、その中にはなんと、ゴーギャンの油絵まであった。

長い廊下には作り付けの本棚も並んでいて、そこには美しい画集などがゆったりと並べられていた(収納ではなく、見せるための陳列です)。

かつては妻とふたりで、僕も海外の高級リゾートホテルには頻繁に行っていた。だから、豪華なものは見慣れているつもりだった。だが、Nさん宅のゴージャスさには目を見張らずにはいられなかった。

「すごい部屋ですね」と目を丸くして言う僕に(僕の隣では妻がずっと目を丸くしていました。安藤さんは驚きのあまり茫然自失という感じでした)、Nさんは「このマンションでは我が家がいちばん狭いんですよ」と、平然とした顔で言った。

何でもそのマンションには有名なシンガーソングライターのAさん夫妻や、大人気のシンガーグループのBさんも暮らしているようだった。

そんなに豪華な家に暮らしているというのに、Nさん夫妻はとても気さくで、飾らない人たちで、その日の会食はとても楽しいものになった。

安藤さんもNさん宅にお邪魔するのは初めてのようで、「この部屋、いくら?」「あの絵はいくら?」とお金のことばかり訊いていた(Nさんは教えてくれませんでしたけど)。

結局、Nさん宅には4時間ほどいて何本もの高価なワインを飲ませてもらったのだが、僕は室内の豪華さにばかり気を取られていて、ワインの味はよくわからなかった(途中でトイレに行ったら、あまりにトイレが遠くにあるので迷ってしまいそうでしたよ)。

「生まれ変わったら、作家ではなく医師を目指そう」

Nさん宅を出て、妻とふたりで自宅に戻る道すがら、僕はつくづくそう思ったのでした(冗談です)。

それにしても、お金持ちって、いるものですね。

さて、次は我が家にNさん夫妻をお招きして、庶民の暮らしを見せてあげなきゃ。

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