Diary 雑記

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自分の誕生月だということもあって、五月が大好きだ。気候が良く、日も長くて、気分も何だか明るくなる。

けれど、今年の僕は五月のあいだ、ほとんど自宅に引きこもり、光文社文庫の新作の構想をしていた。

何度も書いてきたように、僕はこの「構想」という作業が嫌いである。ストーリーを考えるのが苦手なのだ。

構想がまとまり小説を書き始めてしまえば、毎日はとても楽しい。

一日の執筆を終えた時には、心地よい疲れと充足感に包まれ、その後のお酒も美味しくなる。

けれど、構想中はそうではない。頭の中はぐちゃぐちゃで、気分は悶々としていて、口から出るのは溜め息ばかりである。髪を掻き毟ったり、両手で顔をゴシゴシと擦ったり、爪を噛んだりもしている。必然的に煙草の本数も多くなる。

小説の構想では、朝からずっと机に向かっていても、何ひとつ思いつかない日がたくさんある。前日までの構想をすべて白紙撤回して、ゼロから考えなければならないことも少なくない。

そんな日が何日か続くと、とても無為に過ごしているような気分になる。人生を無駄にしているという感じなのである。

構想が本当に嫌いなので、かつての僕はいい加減な構想のまま見切り発進した。とにかく小説を書き始めたかったのだ。

けれど、そんなふうにして書き始めた小説は、途中でしばしば行き詰まる。

にっちもさっちもいかなくなり、執筆をやめて放り出してしまうこともあったし、何とか書き上げても編集者に気に入ってもらえないこともあった。

そういうことを避けるためにも、きちんとしたプロットが必要なのだ(プロットなんか書かずに小説の執筆を始める作家もいるようですが、僕は凡庸な男なので、プロットは絶対に必要です)。

少し前に若い作家が構想の担当を申し出てくれた。僕に代わってストーリーを考えてくれるというのだ。

僕は歓喜してその申し出に飛びつこうとした。だが、担当の編集者たちから呆気なく却下されてしまった。そんな本は売りにくいというのだ。

というわけで……僕はきょうも机に向かい、祈るような気持ちで新作のプロットを書き続けている。きょうは何か素敵なアイディアが思い浮かびますように!!

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