Diary 雑記

23

南の島で風邪をひいてしまった。

到着して早々のことである。

「たいしたことはないだろう」

そう思って、ビーチのレストランで夜風に吹かれながら食事をした。

それが間違いだった。翌日から38℃を超える熱が出た。

「おとなしく寝てれば、すぐに治るだろう」

そう思って、医者も呼ばずに部屋で寝ていた。それもまた間違いだった。

翌日になると、熱はさらに上がって、立ち上がれないほどになってしまった。

僕は保険には加入しない主義なので、海外旅行保険には入っていない。しかも、僕は英語がまったくできないので、何から何まで妻の通訳が必要である。

でも、しかたなく現地人の医師を部屋に呼んで診てもらった。

医師によるとインフルエンザとの診断である。で、赤やピンクや黄色や水色の、飲み込むのが難しいほど巨大な錠剤をたくさんもらった。

「3日で治る」

と医師は妻に言ったらしい。

だが、4日たっても、5日たっても、6日たっても、7日たっても、8日たっても・・・

いや、帰国する前日になっても治らなかった。

せっかく南の島に来たというのに、プールサイドで浴びるほどビールを飲むこともできず、熱帯の町をそぞろ歩くこともできず、可愛い女の子にマッサージをしてもらうこともできず、大好きな魚介類を食べ歩くこともできず・・・それどころか、本を読むこともかったるくてできず、ただ部屋で寝ていた。食事はすべてルームサービスである。

僕は諦めがいいほうである。しかたないと諦めた。

こういう時、諦めのいい人間は楽である。

それにしても、海外で病に臥すというのは心細いものだ。もしかしたらこれは変な病気で、このままこの国で死んでしまうのかもしれないなあ、と考えたりもした。何だか弱気になり、「もし僕が死んだら、こっちで火葬してもらっていいよ」なんて言ったりもした。

でも、昔、弟がパキスタンの安宿で高熱と下痢と吐き気に悩まされながら寝ていたのに比べれば、今の僕の境遇ははるかにマシなのだろう。弟が泊っていた宿のベッドは、前の客のシーツをそのまま使うようなところで、もちろんエアコンもなく、トイレも共同だったらしい。眠っているあいだに部屋に泥棒が入るかもしれないからと、貴重品は抱いて寝ていたらしい。

それに対して、僕が泊っていたのは5つ星の最高級リゾートホテルのスイートルームである。文句を言ったら罰が当たる(とてつもなく広い部屋なのに、僕がいたのはほとんどベッドの上。トルストイの「人はどれだけの土地がいるか」みたいな話である。

おとなしく寝ていたかいがあったのか、帰国の日になって、ようやく熱が少し下がった。それで医師から飛行機に乗る許可をもらった。

あーあ。せっかくのバカンスなのにもったいなかったなあ。

まあ、人生にはこんなこともあるのでしょう。

ちなみに、風邪をひきはじめて間もなく1ヶ月。なぜか、いまだに風邪は治り切らないのである。

最近、どうしてこんなに弱くなってしまったのだろう?

読者のみなさんも、風邪だからといってバカにしないように。風邪は万病の素です。

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