Diary 雑記

32

お正月である。

今年は小説家になって初めて、12月30日から1月3日まで完全オフにすることにした。といっても、僕にも我が家にも、特別なことは何もない。

綺麗好きな妻がいつも家の中を隅々まで掃除して、床も壁も窓ガラスも、トイレも浴室もピカピカに磨きあげているから、大掃除をする必要はない。

テレビは見ないから、大晦日の特別番組を見ることも、格闘技の番組を見ることも、紅白歌合戦を見ることもない。

妻も僕も神仏を信じていないから、初詣でに行くこともない。

物を買っても、家が狭くてそれを置く場所がないから、デパートの初売りに出かけることもない。

いつもと同じ時間に目を覚まし、いつもと同じ時間に眠っている。

それでも、やはりお正月である。

元日の朝から妻と僕は着物になった。着替えが終わると、妻が食卓におせち料理を並べてくれた。それを食べ、友人たちから届いた年賀状を眺めながら、夫婦でたっぷりとお酒を飲んだ。そうしたら、起きたばかりだというのに、また眠たくなってしまって、着物姿のままソファに横になって眠ってしまった。

しばらくして目を覚ましたら、また、おせち料理をつまみ、また、お酒を飲んだ。そして、またまた睡魔に襲われて、またまた着物のままで眠ってしまった。

ああっ、何だかいいなあ。

こんなにのんびりとお正月を過ごしたのは、もしかしたら初めてかもしれない。

次に目を覚ました時に、ベランダに出て煙草を吸った。風は冷たいけれど、着物のせいか、少しも寒くない。

僕のいるマンションのすぐ目の前には平塚八幡宮があって、ものすごくたくさんの人たちが初詣でに来ている。僕はそんな人々の行列をぼんやりと見下ろしながら煙草を吸う。こんなに大勢の人たちが、いったい何を祈りに来たのだろう? みんなはいったい、どんなことを望んでいるのだろう? 祈りは誰に届くのだろう?

僕?

いいえ。僕に望みはありません。

僕みたいな人間が何かを望んだら、罰が当たります。

けれど、もし許されるなら、来年の正月もきょうと同じように過ごさせてください。来年のきょう、今と同じような気持ちで、今と同じようにしていられたら・・・そうしたらもう、ほかには何もいりません。

あれっ? 誰に向かって祈ったんだろう?

さて、煙草を吸い終わった。また部屋に戻って、おせち料理をつまみに、妻とふたりでお酒を飲もう。そして、また、ソファに転がって微睡むとしよう。

4日からはまた仕事をします。

今年はもっと真摯に書きます。もっと懸命に書きます。もっと一途に書きます。読者のみなさま、今年もよろしくお願い致します。

追伸:3日まで休むつもりが、3日から仕事を始めました。自分で思っていたより、僕は真面目な性格のようです。

Diary list

Diary:160〜169
Diary:150〜159
Diary:140〜149
Diary:130〜139
Diary:120〜129
Diary:110〜119
Diary:100〜109
Diary:90〜99
Diary:80〜89
Diary:70〜79
Diary:60〜69
Diary:50〜59
Diary:40〜49
Diary:30〜39
Diary:20〜29
Diary:10〜19
Diary:1〜9
このページのトップへ