Diary 雑記

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パグ犬のピーナッツがいた頃は、毎日3回も4回も近所に散歩に出かけていたので、そこで、いろいろな人と知り合った。そこでの人との出会いは、単調な日々に彩りを添えてくれたものだった。

ピーナッツがいなくなってしまった今では、僕はほとんどどこにも出かけない。時折、行く場所も、いつも同じである。だから、人との新しい出会いもない。

けれど・・・いや、だからこそ、今、親しくしていただいている人たちのことは、本当に大切に感じている。最近つくづく思うのは、人はひとりでは生きてはいけないということだ。

どこにも行かない僕が、しばしば出かけて行くのが、次の4つの場所である。

まずひとつめは、平塚駅南口からすぐのところにあるスポーツクラブ。僕は運動には無関心な人間なのだが、そこでは毎日のようにランニングマシンで走り、プールで泳いでいる。面倒だと思うこともあるが、肩凝りと腰痛の改善のためである。

よく行く場所のふたつ目は、「時代茶屋」という平塚駅近くの居酒屋だ。

この店には平塚に越して来てからずっと通っているから、かれこれ17年の付き合いである。オーナー夫婦がとてもいい人なので、親戚のように付き合わせていただいている。かつて「殺人勤務医」に登場した356ポルシェを僕に譲ってくれたのも彼らである。

宣伝するつもりはないけれど、「時代茶屋」は日本酒のメニューが豊富なのと、店の造りがゆったりとしているのがいい。どんなに混んでも絶対に相席になんかしないし、お客がいる限り閉店にもしない。それもいい。僕は日本酒はあまり飲まないけれど、妻はいつもこの店で各地の名酒を堪能している。

よく行く場所の3つ目は、梅屋百貨店のペットコーナーだ。そこではいつも「お菊」の餌と猫砂、それに熱帯魚やその餌を買っている。

この店は、デパートの屋上によくあるような、こじんまりとしたペットショップなのだが、やはり平塚に越して来てから17年間、僕はずっと通い続けている。

ここは店が小さいわりには熱帯魚の種類が豊富で、値段もとても安くて良心的だ。でも、僕がいちばん気に入っているのは、店の人たちがみんなとても親切で、生き物をとても愛していることだ。「売れればいい」というような店ではないのだ。

平塚に越して来て、その店にふらりと入ったことで、僕は熱帯魚の飼育に目覚めた。

もし、あの店がなかったら、たぶん、「アンダー・ユア・ベッド」は書けなかっただろう。そう考えると、不思議な気がする。

長い旅行に出かける時には、いつもこの梅屋のペットコーナーで「ベタ」という魚を預かってもらっているし、うずらの「うず子」がいた時には、彼女も預かってもらっていた。

よく行く場所の4つ目は近くの「ヤマザキデイリーストア」で、この店のオーナー夫妻とも親しく付き合わせていただいていた。出版社やエージェントへの宅配便も、みんなこの店から送っていた。

だが、このコンビニは先月、突然、閉店してなくなってしまった。4つしかなかった行き場所のひとつがなくなってしまったわけで、とてもがっかりした。

気分がふさぐと(しばしばふさぐ)、僕は気晴らしにスポーツクラブに行く。あるいは、梅屋のペットコーナーに行って、熱帯魚の水槽をぼんやりと眺める。夜は「時代茶屋」で浴びるほど酒を飲む。

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