Diary 雑記

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 映画「1303号室」の初日のことである。

10月27日の午後7時の回に、僕は銀座のシネパトスで及川監督とのトークショーを予定していた。

きっとファンのかたがたくさん来てくれるんだろうな。

そう思って楽しみにしていた。

だが、こともあろうに、まさにちょうどその時間、台風が関東地方に最接近し、東京は凄まじいまでの暴風雨に見舞われてしまったのである。

あんな嵐の時に映画を見ようなんていう人が多いはずはない。案の定、映画館はがらがらで、座席は3割ほどしか埋まっていなくて、観客よりもスタッフのほうが多いぐらいだった。

満員札止を期待していたのに、監督を含め、スタッフはみんながっかりである。もちろん、僕も落胆した。

「雨だからしかたないですよ」

スタッフの人たちはそう言って、僕を慰めてくれた。

だが、しかたなくはないのだ。実はあの雨は僕のせいなのだ。

「やっちまったぜ、雨男」

まさにそういう感じなのだ。

そう。僕は、スーパーレインマンなのである。有無を言わせぬ雨男なのである。

思い返せば、僕は人生の大切な時に、いつもいつも雨に祟られて来た。

修学旅行で京都に行った時には台風で新幹線が止まり、僕たちは名古屋駅手前の線路上で4時間以上も車内に閉じ込められた(この経験は「処刑列車」の執筆には役立った)。

僕は妻と1990年の3月31日に結婚したのだが、あの日も朝から土砂降りだった。式場は三浦半島の葉山の丘の上の海を望む教会で、その素晴らしい眺望をみんなに見てもらうつもりだったにもかかわらず、あまりの雨で何も見えず、ただ、みんなに面倒な思いをさせただけだった。

今でも僕が旅行に出かけるという日は、必ずと言っていいほど雨が降る。海外から戻って来ると、絶対に雨か雪が降っている。いつだったか、バリ島から帰ろうとしたら、成田が雪で閉鎖されていて、帰れなかったことまであった。

そんなわけで、初日が雨になったのは、僕のせいなのだ。

だが、それにもかかわらず、映画館に足を運んでくれた人たちがいた。そのことに僕はひどく感動した。泣きそうになったほどだった。

嵐の中、わざわざ来てくれたみなさん、本当にありがとうございます。花束をいただいた内海さん、鏡味さん、齋藤さん、市川さん、ありがとうございました。おかげで我が家は、今も花の香りでいっぱいです。

映画「1303号室」は現在も公開中です。みなさん、ぜひ、映画館に足を運んで下さい。

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