Diary 雑記

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妻がフランスに遊びに行ってしまったので、そのあいだ、僕は「お菊」と1週間ほど留守番をした。

ひとりで留守番をするのは、8年前の夏に、やはり妻が3週間ほどアメリカに遊びに出かけて以来のことである。

ふだんは風邪をひくことなんかめったにないのに、8年前の僕は妻の不在中に何度も風邪をひいて医者に通い続けた。「しゃっくりが何日も止まらなくなる」という不思議な体験もした。そして、3週間後に妻が帰国した時には、げっそりと痩せこけていた。

だから今回も、妻は僕を日本に残して出かけるのは、後ろ髪を引かれる思いだったという。

妻は料理のできない僕のために、たくさんの料理を作り、それを冷凍庫に詰め込んでいった。おまけに毎日の僕の献立まで書いて置いていった。

「本当にひとりで大丈夫かしら?」

出かける直前まで妻は不安そうだった。

そこまでしてもらって、満足に留守番もできないというのでは、いくら何でも情けない。今回は僕も気合いを入れた。

それなのに・・・妻が出国して早々に、いきなり激しい倦怠感と食欲不振に見舞われた。そして、たまらずベッドに潜り込み、執筆もせず、読書もせず、音楽も聴かず、ただ天井を見つめて悶々とした一日を送った。

ひとりきりになると、いったいどうしてこんなにも具合が悪くなってしまうのだろう? 金魚にだってできる留守番が、どうして僕にはできないのだろう?

これでは、8年前の悪夢の繰り返しである。

きっとこれは、ひとりきりで家に閉じこもっているのが悪いのだ。声の出し方を忘れてしまうほど誰とも話さないのが良くないのだ。

家の中には「お菊」がいるが、彼女はとてつもなく無口である。だから、きっと、寂しくて体調が悪くなるのだ。

ベッドの中で天井を見つめながら、僕はそう推測した。

寂しさを紛らわすためには、無理をしてでも身体を動かせばいいのではないか?

そんなふうに考えた僕は、ベスパにまたがってスポーツクラブに行った(クルマは妻が成田空港に乗って行ってしまった)。そして、狂ったように全力で走り、苦しくなるほどに泳いだ。

すると・・・不思議なことに、あれほど激しかった倦怠感は煙のように消え、食欲も回復したのだ。おまけに、執筆する意欲が、もりもりと湧いて来たのだ。

これに気を良くした僕は、翌日からも毎日、必ずスポーツクラブに行った。そして、へとへとになるまで走って泳いだ。帰宅すると、夢中で食事をし(動くのでお腹が空きます)、夢中で執筆をした(なぜか気分がハイになります)。

肉体が疲れているので、夜もぐっすりと眠れた。深く眠るので、目覚めもすっきりとしていた。

そんなふうにして、僕は「お菊」との暮らしを満喫した。1週間後に妻が帰宅した時は、「なんだ、もう帰って来たのか。もっと長く行っていれば良かったのに」という気分でさえあった。

妻も「寂しがってると思ったのに・・・」と不満げだった。

はい。だから、みなさん。寂しくて、体調が悪くなった時は、無理にでも身体を動かしてみるといいですよ。アドレナリンが出るためか、気分がとてもハイになります。

ぜひ、試してみてくださいね。

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