Diary 雑記

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先日,角川ホラー文庫のために書いていた「殺人鬼を飼う女」をよ うやく脱稿し、休む間もなく,今度は光文社文庫のために次の作品の構想をしている。そして、いつものように、毎日,強い不安に苛まれている。

そう。ひとつの本を書き終え,次の作品に取りかかるまでの執筆の空白期には、なぜか、僕はいつも強い不安に駆られるのである。

いったい、なぜ、こんなにも不安なんだろう? 次の本が書けるかどうかが不安なのだろうか?

窓の外を眺めながら,僕はしばしば考える(今は冷たい雨が降っています)。

少し前までは、この執筆の空白期に、なぜ、自分が不安になるのかがよくわからなかった。けれど、最近になって,ようやくその理由がわかった。

つまり「本を書いていない」というこの状態自体が、僕を不安にさせているのだ。逆に言えば,「本を書く」ということが、いつも僕の心を支えているのだ。

本を書くという作業は,確かに、辛くて大変なことである。だが、 僕にとっては、やはりそれは楽しい作業なのである。おそらく、執 筆中には僕の身体にはアドレナリンみたいなものがどくどくと分泌されて,気分がひどく高揚するのだろう。

思い返してみれば,毎夜、仕事を終えてワープロの前を離れる時には,僕は躁状態になって浮かれている。妻に言わせれば,そんな時の僕は酒に酔ったように「ご機嫌」なのである。

それはまるで,毎日、気分がハイになる向精神薬を服用しているようなものである。

けれど、今のような執筆の空白期には、この向精神薬を服用することができない。よって、とてつもない不安に駆られるのである。

昔はこの不安に耐えられず,しっかりとした構想もないままに、とにかく書き始めた。少なくとも,書いているあいだは不安が紛れ, 気分が高揚するからだ。

だが、そういうふうにして書いた本の多くは、結局はものにならないから、編集者たちに多大な迷惑をかけた上に,莫大な時間と労力を無駄にすることになる。

だから今は、しっかりとしたプロットが完成するまでは,決して執筆に取りかからないようにしている。書きたくても、必死になって我慢しているのだ。

書きたい,書きたい,書きたい……でも、まだ書けない。

そんな感じである。

はい。そして、僕はきょうも、不安と焦燥に駆られながら,次の本の構想を練っているのである。

早く書き始めたいなあ。


追伸:あのヒヨドリたちの巣は,9月も終わろとしてい る今も,ハナミズキの樹の上にあります。葉がかなり落ちたせいで、前よりもはっきりと見えます。あの「ヒヨドリ事件」から 1ヵ月半も経つというのに、妻も僕もいまだにその巣を見上げては、 しんみりとしております。あのヒヨドリのお母さん,今はどこにいるのかな?

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