Diary 雑記

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過酷なダイエットを続けている。

といっても……僕自身のダイエットではなく、新作のダイエットである。

マカオのホテルでも一日も休まず執筆を続け、年末年始も休日返上で執筆に励んだ甲斐あって、つい先日、光文社文庫への新作をついに脱稿した。

ちゃんとした作家たちなら、出来上がった作品を編集者に渡し、これで執筆は終了となる。残された仕事は、脱稿のお祝いにシャンパンを飲むぐらいである。

けれど、ちゃんとした作家ではない僕の場合は、「脱稿=大団円」とはならないのである。

なぜなら、僕の場合、脱稿したばかりの作品は、いつも、とてつもない肥満児だからである。

そうなのである。少なくとも、「大石圭」という作家の場合、脱稿直後の作品は、余分な贅肉だらけで、ストーリーがだらだらとしていて、登場人物たちが喋り過ぎで、余計な挿話や風景描写が多くて、鬱陶しい形容詞が多すぎて……とにかく、読むに耐えるようなものではないのである。

それで「推敲」という作業が必要になる。「大石圭」という作家の推敲作業は、主に、贅肉を削り落とすための作業である。

特に今回の場合、脱稿直後の作品の分量は、400字詰め原稿用紙換算で1000枚を超えていた。

1000枚!!

いくら何でも、これは長過ぎる。いや、内容がそれにともなえばいいのだが、この内容でこの枚数は、あまりにも多すぎるのだ。これでは、お湯で薄めたスープみたいなものである。

薄めたスープを読者のみなさまに買っていただくわけにはいかない。

しかたなく、脱稿の翌日から、僕は作品のダイエットを始めた。1000枚の分量を、少なくとも800枚、できれば700枚ぐらいに縮めるのが目標である。

だが、実際のダイエットと同じように、これはなかなか辛い作業である。

執筆の時は、僕は僕なりに、精魂込めて、一文字一文字、全身全霊を傾けて書いている。せっかく書いたその文章を、ばっさばっさと削除していくのは、はっきり言って身を切られるように辛いのである。

だが、やらなければならない。そうしなければ、人に見せられるようなものにはならないのだから。

そんなわけで、僕は現在、ファッションショーの前のモデルのように、文字通り、身を削るようなダイエットをしております。作品の発表まで、もうしばらくお待ちください。


追伸:つい先日、前の小学校の6年生の女の子、Mちゃんがいつものように我が家にやって来て、推敲作業を続けている僕のすぐそばで算数の宿題をやっていた。

「ねえ、手伝って!!」とMちゃんがねだるので、しかたなく妻が彼女の宿題をみてやっていた。

そして、判明したのだが、Mちゃんは自分の力ではほとんど一問も正解を導きだせないのである。彼女は0.8の二倍が0.16、1.5時間を1時間5分と思っているような子なのである。

「Mはバカだからさ」と彼女は屈託なく笑っていたが、これは大問題である。こんな学力では4月から通うことになる中学校では、絶対に落ちこぼれてしまうに違いない。

他人の子だから、どうでもいいと言えば、どうでもいいのだが……やはり見て見ぬふりはできない。

そんなわけで、妻は今、放課後にMちゃんを我が家に呼びつけ、毎日毎日、勉強の特訓をする計画を立てている。さて、Mちゃんは妻のスパルタ教育に耐えられるのだろうか?

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