Diary 雑記

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 徳間書店と幻冬舎のために、それぞれ長編の書き下ろしを同時に書いている。正確に言うと、徳間書店への小説と、幻冬舎への新作を、1日おきに交互に書いている。

 売れっ子の作家たちにとって、同時進行は当たり前のことなのだろうが、売れっ子ではない僕にとって、複数の長編小説を同時に書くというのは初めての経験である。

「みんなやっているんだから、どうにかなるだろう」

 書き始める前の僕はそんな風に、のんきに構えていた。

僕の小説の登場人物たちとは違って、僕は能天気な性格である。

けれど、実際に書き始めてみると、それはとてつもなく厄介なことだった。

ほかの作家たちの場合はどうなのか知らないけれど、僕は毎日、書き始めるまでにとても時間がかかる。平凡で平穏な日常の生活から、ショッキングで非現実的な作品の世界に入っていくのが容易なことではないのだ。

それでも、書いている作品がひとつの時は何とかなった。

だが、今は2作品同時進行である。それぞれの小説がまったく別の世界の物語だから、その世界に入っていくのが、ものすごく難しいのだ。

時間の流れの問題もある。

幻冬舎に書いている小説は、一晩だけの物語である。それに対して、徳間書店に書いているのは、数ヶ月間の話である。うまく言えないけれど、この「時間の流れの違い」は、作品を書いていく上でけっこう厄介な問題なのである。

さらに問題なのは「人称」である。

徳間書店の作品は三人称、幻冬舎の小説は一人称で書いている。三人称と一人称では、当然ながら、文体や雰囲気がガラリと変わって来る。

僕は器用ではないから、「昨日は三人称、今日は一人称」というのが、すごく難しくて、混乱してしまうのだ。

だが、文句を言っていても始まらない。

今日も頑張って書くことにします。ええっと……今日は一人称の番かな?

頑張ります。

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