Diary 雑記

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早いもので、もう3月である。ということは、今年に入って2ヵ月が過ぎたということになる。

実はこの2ヵ月、僕はまったく小説を書いていない。こんなことは、作家になって初めてのことである。

では、この2ヵ月、小説を書かずに何をしていたのかというと、これから書くつもりの新作長編小説のプロット(あらすじ)を書いていたのである。

作家になったばかりの頃は、プロットなんて書かなかった。何となく「こんなものを書こう」と思いついた段階で、すぐに執筆を開始していた。

けれど、そうすると、いろいろと困ったことが起きる。

書いている途中でストーリーをどうしていいかわからなくなったり、書き終えてから編集者に「こんなレベルじゃあ、出版はできません」と言われてボツにされたり、思うように書けずに、指定された締め切りに間に合わなくなったりしてしまうのだ。

だから、ここ数年は、小説を書き始める前にプロットを書いて編集者に読んでもらっている。ほかの作家がどんなプロットを書いているのかは知らないが、僕の場合はそれだけで薄い本ができてしまいそうな、長くて詳細なプロットである(初めて付き合う編集者たちはみんな、僕のプロットがあまりに細かくて長いので驚きます)。

僕は小説を書くのがすごく好きだ。だから、作家をしている。だが、物語のストーリーを考えるのがとても苦手なので、プロットを書くのは大嫌いである。

プロット作りが、辛くて、苦しくて、たまらないのだ。

ふだんはひとつのプロットが書き上がると、小説の執筆に入る。だが、今回は講談社の「小説現代」に連載する予定の新作、角川ホラー文庫への書き下ろし新作、幻冬舎アウトロー文庫への書き下ろし新作と、3つの小説のプロットを続けざまに書いている。スケジュール的に、この3つを同時進行で書かなければならないからだ。

そういうこともあって、この2ヵ月間の僕は、プロットだけを書き続けていた。それは作家になってから、もっとも辛い2ヵ月だった。

小説を書いていると、いつも気分が高揚する。夜、机の前を離れる時には「やった」という充実感もある。少なくとも僕にとって、小説を書くという作業は向精神薬みたいなものなのだ。

けれど、プロットを書いていても、気分はまったく高揚しない。仕事を終えても充実感もない。そして、意味のない不安が募る。

僕は精神的にはかなり強いほうだと思うのだが(僕は鈍感です)、この1ヵ月ほどは何となく気分が塞ぐ。すべてを放り出し、作家なんか辞めてしまいたいような気にさえなる。

だが、プロットの執筆という辛い作業にも、ようやく終わりが見えて来た。あと一息である。

これさえ終われば、あとはマシンのように書くだけだ。

今の僕は、小説の執筆に取りかかれる日が来るのを、今か今かと待ち侘びているいるのだ。

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