131:ノボル依存症
小中学生の夏休みのあいだ、僕たち夫婦は自宅に引きこもり、旅には出ないようにしている。どこに行っても混むからだ。
だが、9月になったので、さっさく国内旅行に出ることにした。
ふだんは月に一度なのだが、8月にどこにも行かなかったので、今月は二度の旅をした。旅とはいっても、一泊二日の短いものである。
昔は一泊二日なんていう慌ただしい旅行は絶対にしなかった。国内なら三泊から一週間、海外だと半月ぐらいは旅先に滞在していた。
けれど、今はほとんどが一泊二日だ。
たびたび書いているように、僕たちの留守中には猫シッターのY子さんが朝と夜に自宅に来て、トイレと餌の世話をし、1時間ほど遊んでくれる。猫どもはどちらもY子さんに慣れて、彼女がやって来るのを心待ちにしているように見える(Y子さんは猫を遊ばせるのが得意です)。
Y子さんは「長い旅行に行っても大丈夫ですよ」と言っているし、実際、そうなのかもしれない。
それにもかかわらず、妻も僕も今ではあまり長く家を空けたいとは思わなくなった。
その最大の原因はノボルである。
一泊二日の旅から戻ると、ノボルは僕たちに付きまとい、まったく離れようとしない。そして、何かを訴えるかのように、「にゃー。にゃー」と絶え間なく鳴き続けるのである。
もちろん、僕たちに猫の言葉はわからない。けれど、その声は、「寂しかったよー。寂しかったよー」と訴えているように聞こえる。
クールな「お菊」とは違い、ノボルは本当に甘えっ子で、寂しがり屋で、夜はいつも夫婦の寝室で寝る。だから、僕たちのいない夜は寂しくてたまらないのかもしれない。
寂しくて泣きながら眠っているノボルを想像すると(泣きませんけど)、僕たち夫婦も旅先でゆっくりと眠ることができない。自宅で寂しそうにしているノボルを思うと、行楽もままならない。
かつて旅は最大の楽しみのひとつだった。けれど、今では旅先でもノボルのことばかり考えて、「早く家に帰りたいな」と思うようになってしまった。
ノボルが原因とは書きましたが……もしかしたら、これって、ノボルが原因なのではなく、僕たち夫婦が「ノボル依存症」という病にかかっているのかもしれませんね。
そう。今では僕たち夫婦は、ノボルなしには生きていられないのです。
みなさんはどうですか? 「猫依存症」にかかっていませんか?
今回もバカバカしい話でした。すみません。にゃーお。
追伸/今回も写真の撮影はすべて、猫シッターのY子さんです。