Diary 雑記

153:ノボルよりも重たい猫がいました

  • ちょっと失礼
  • ぺろぺろ
  • 何か用なの
  • 屋上、大好き
  • 精悍です
  • 右はY子さんのバッグです
  • Y子さんに慣れてきた

7月の第三日曜日のことである。

その日は有楽町の東京国際フォーラムで大江戸骨董市があり、妻も出店した。荷物運び担当の僕も同行した。

搬入は6時15分なので、朝の5時15分頃に、僕たちは車で家を出た。

とてつもなく蒸し暑い日で、出店業者たちはみんな苦しそうにしていた(大江戸骨董市は屋外なので、暑さ寒さが辛いのです)。

僕たち夫婦も汗まみれで、僕は着替えを持って行ったが、その着替えもあっという間に汗にまみれた。

暑いせいか、その日は客が少なくて、どの店もまったく売れていないようだった。

我が家もほとんど売れず、僕は冷たいシャンパーニュのことばかり思っていた(大江戸骨董市のあとでは、我が家ではシャンパーニュを飲むことにしているのです)。

けれど、人生には何が起こるかわからないものである。

閉店の間際に、新婚旅行に来たという若い中国人のカップルが「ハロー」と言いながら笑顔でやって来た。そして、驚くことに、マイセンやリヤドロのフィギュリンなどを40万円も買って行ってくれた。

妻の店にとって、初めての「爆買い」体験である。

わーい、売れた!! 売れた!!

僕たちは歓喜して家路に着いた。

すぐに入浴し、食事をするつもりだった。

けれど、その前に一仕事が待っていた。我が家の郵便受けに「猫を探しています」という紙片が投函されていたのだ。

その紙片を読むと……その日の朝に、8号室のKさん宅の猫が脱走し、屋上伝いにどこかに行ってしまったのだという(僕たちは1号室に住んでいます)。

僕たちのマンションには9世帯が暮らしている。どの家も、一階と二階、それに屋上という造りのマンションである。それぞれの屋上のあいだには高い塀があるから、隣の部屋の屋上を覗くことはできない。けれど、塀の隅には、わずかな隙き間が空いている。

8号室の猫はその隙き間から脱走したらしい。

実は、我が家のノボルと「お菊」も、過去に一度ずつ、その隙き間からお隣の2号室の屋上に脱走したことがある。

その時には、いくら呼んでも戻って来ずに(ノボルは返事はするけど、戻って来ません。「お菊」にいたっては、返事さえしません)、しかたなく僕はフェンスを乗り越え、お隣の屋上にこっそりと進入して猫どもを抱えて戻って来た。

郵便受けの中の紙片を読んだ僕は、すぐに8号室のKさんに電話を入れた。

すると、脱走した猫は、今も行方不明のままだという(Kさんはとてつもなく心配そうでした)。

Kさんによれば、猫が脱走したのは朝の8時半頃だという。

僕たちが帰宅したのは、午後6時半頃だった。ということは、その猫はこの暑さの中、すでに10時間もどこかの家の屋上に、飲まず喰わずでいるという計算になる。

僕は持ち帰った美術工芸品(商品です)をクルマに残したまま、慌てて屋上に駆け上がった。

本当にKさんの家の猫が、我が家に来ているとは思わなかった。8号室と1号室とは、かなり離れているからだ。

けれど、なんと、屋上に設置されている三台のエアコン室外機のひとつの下に、太った白い猫がうずくまっているではないか!!

とてつもなく大きな白い猫(スコティッシュフォールドという垂れ耳の猫です)は、警戒心を剥き出しにした目で僕を見つめた。「来るな」という目つきである。

「ヘタに近づくと、また逃げちゃうかもしれないな」

そう考えた僕は、8号室に行き、Kさんのご主人と一緒に再び我が家の屋上に戻った。

Kさんのご主人は、猫の名を繰り返しながら、大きな白猫に近づき、無事に抱き上げることに成功した(ノボルは屋上建家のガラス越しに、その一部始終を不思議そうに見ていました。ノボルはそこにスコティッシュフォールドがいることに、ずっと前から気づいていたようです。もちろん「お菊」は知らないと思います)。

Kさんのご主人は大きな猫を抱いて、我が家の屋上から二階に降り、二階から一階に降りて行ったが、本当に重たそうだった。

「重たそうですね」

「はい。重たいです」

「何キロあるんですか?」

「最近は計っていないけど、10キロぐらいかな」

その言葉は僕たち夫婦を喜ばせた。

そう。ノボルよりもデブの猫が、こんな近くに存在したのだ。

それにしても、僕たち夫婦はたいてい一日中、家にいるというのに、よりによって、こんな日に脱走しなくてもいいものを……。

いずれにしても、その日の我が家の夕食は、ノボルよりデブの猫の話と、爆買いの中国人夫婦の話で盛り上がった。

シャンパーニュはいつも以上に美味しかった。

今月もめでたし。めでたし。にゃーお。

追伸/翌日、Kさんの奥さんが菓子折りを持って我が家にお礼に来ました。奥さんによれば、ノボルよりデブのスコティッシュフォールドは、脱水症状や熱中症にもならず、元気いっぱいだということで、僕たち夫婦もホッとしました。

Diary list

Okikusama:150〜159
Okikusama:140〜149
Okikusama:130〜139
Okikusama:120〜129
Okikusama:110〜119
Okikusama:100〜109
Okikusama:90〜99
Okikusama:80〜89
Okikusama:70〜79
Okikusama:60〜69
Okikusama:50〜59
Okikusama:40〜49
Okikusama:30〜39
Okikusama:20〜29
Okikusama:10〜19
Okikusama:1〜9
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