Diary 雑記

35:しゃべらない

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その人の家の猫は、「ごはん」という言葉を話すというのだ。

食事の時間になると、飼い主のところにやって来て、「ご・は・ん」と、ほぼ正確な日本語で訴えるというのだ。

「本当ですかあ?」

僕はもちろん、半信半疑・・・というか、ほとんど信じていない。猫に人間の言葉が話せるなんて、信じられるわけがない。

だが、その人は嘘ではないと主張する。頑張って教えれば、どんな猫でも、「ごはん」という言葉をしゃべれるようになるのだという。

「キクちゃんだって、絶対にしゃべれるようになります。わたしが保証します」

その人は、そう断言した。

最初は「にや・にゃ・にゃ」と三音節の鳴き声を出すらしい。

「にゃ・にゃ・にゃ」が言えるようになったら、大袈裟なくらいにほめてやる。すると、だんだん「ご・は・ん」という正確な発音をできるようになるらしい。

うーん。オウムやインコや九官鳥みたいなマネが、猫にできるのだろうか? まして、我が家の「お菊」はバカである。

半信半疑ながら、その人に言われたとおり、「お菊」に餌をやる時に「ご・は・ん」という言葉を繰り返すようにしてみた。

妻も僕と同じように、餌の時にはしつこく「お菊」に、「ご・は・ん」と教えていた。

だが、いつまでたっても、「お菊」はしゃべらない。「ごはん」どころか、「にゃー」とも言わない。

そういえば、「お菊」は、とてつもなく無口な猫である。

「お菊」が声を出すのは、未明の朝食のあとに「にゃーお、にゃーお、にゃーーーおーーー」と大声で歌う時と、毎日のブラッシングの時に上げる悲鳴だけである。

僕たち夫婦は、すでに一ヶ月以上にわたって、餌の時に「ご・は・ん」「ご・は・ん」と繰り返し続けている。

だが、結局、「お菊」は一言も発しない。ただ、不思議そうに飼い主の顔を見上げるだけである。

こんなんでも、いつかしゃべれるようになるのだろうか?

齋藤さん、本当ですか? 本当に猫はしゃべるんですか?

疑惑は深まるばかりである。にゃーお。

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