56:ヒカル・続報
妻が拾って来た黒猫のヒカルは、僕の妹の娘が町田市の自宅に連れ帰った。妹はワシントン支局に転勤になった通信社勤務の夫のところに、7月末にヒカルを連れて行くことになった・・・というのが前回までの話である。
さて、このヒカル。
我が家の「お菊」とは違って、とてつもなく友好的な猫である。まるで犬のように、一日中、妹やその娘の後をついてまわっているらしい。
おまけにヒカルは無口な「お菊」とは違い、とてつもなく「おしゃべり」な猫である。
とにかく一日中、鳴いている。
頭もとてもいいようで、名前もすぐに覚えて、「ヒカル」と呼ばれれば、どこにいても「にゃー」と返事をしてやって来る。
「お菊」とは違って、ヒカルは運動神経も抜群で、冷蔵庫の上や下駄箱に飛び乗り、あげくの果てに急な梯子を登ってロフトにまで行ってしまうらしい(「お菊」にはどれも無理な芸当です。冷蔵庫はおろか、下駄箱にも飛び乗れません)。
最初は飼育に反対していた妹も、そんなヒカルが可愛くてしかたないらしく、今では娘より可愛がっているほどだ。
「猫じゃなく、犬がいるみたい」
妹は僕に言った。
ヒカルは背中の怪我もすっかり治り、体重も増えて元気一杯である。
だが、渡米には、いろいろと大変なことがあるようである。
最大の問題は検疫である。この検疫をクリアするために、僕はヒカルを平塚に連れて来て、行きつけの「桃浜どうぶつ病院」に連れて行って、狂犬病の予防注射の接種をさせた(猫なのに狂犬病の予防接種が必要なんですって!!)。
さらに、10日後にはまたしてもヒカルを平塚に連れて来て、今度はヒカルを「桃浜どうぶつ病院」に入院させ、背中にマイクロチップを埋め込み(これもどうしても必要)、ついでに去勢手術もしてもらった(はい。ついにヒカルはシーメールになってしまいました)。
だが、これだけでは、まだまだ終わらないのだ。妹は娘とヒカルを連れて7月18日に渡米するのだが、それまでにヒカルにワクチンの接種をしなくてはならない。さらに、出国の1週間前には、もう1度、健康診断をしてもらわなくてはならないのだ。
たかが猫を連れてアメリカに行くだけで、どうしてこんなに大変なんだろう?
さすがに、うんざりだが・・・でも、姪と妹とヒカルの幸せのためだ。もう少し頑張ります。
追伸:ヒカルだけでも大変なのに、実は数日前には「お菊」の具合が悪くなったのだ。
何も食べられなくなり、水も飲まなくなり、うんこもおしっこもしなくなったのだ。
顔もやつれて、げっそりとしてしまったのだ。
「このままじゃ、死んじゃう」
そう思った妻と僕は、「お菊」をヒカルと一緒に「桃浜どうぶつ病院」に連れて行った。
「お菊」の食欲不振の原因は、口の横の大きな毛の塊が、口の中に入っていたという・・・ただ、それだけのことでした。その毛の塊を取り除いてもらった瞬間に、元気を回復しました。まったく、人騒がせなやつだなあ。にゃーお。