Diary 雑記

77:和ませる

  • 日だまりで恍惚
  • 足は僕のです
  • 葉っぱを食べてます
  • そういう所が好きだなあ

3月11日の午後,我が家では14:00過ぎに、いつもよりさらに遅い朝食を済ませた。その後,僕はパソコンを立ち上げ,読者の方々が送ってくれたメールの数々を読んでいた。

その時だった。その時、急に,パソコンに電波を飛ばすラグビーボールみたいな形をした機械(何というのかわかりませんが)が、「あと45秒で震度3の地震が来ます」と喋り始めたのだ。ほんの数日前に我が家に届いたそのラグビーボールが喋るのを聞いたは初めてだった。

僕はのんびりと椅子から立ち上がった。そして、二階にいるらしい妻に「もうすぐ震度3の地震が来るんだってさー!!」と言いながら階段を上がった。

そのあいだも、ラグビーボールは「あと30秒で地震が来ます」「あと20秒」「あと10秒」と、急かすように喋り続けていた。

だが、怖いとは感じなかった。震度3なら、何ていうことはないと思ったのだ。

妻は二階の第二玄関の外にいた。そこで僕のスニーカーを洗っていた。「お菊」のやつは、そんな妻の隣に寝そべり,のんびりと日光浴をしていた。

僕が第二玄関から外に出た直後に,あの凄まじい揺れが来た。それは震度3などではなく,立っているのも容易でないほどの猛烈な揺れだった。

反射的に妻は「お菊」を抱き上げた。「お菊」は抱かれるのが嫌いなくせに、あの時は逃げ出そうとはせず,妻の腕の中でガタガタと震えていた。

その後に東北・関東地方に襲いかかった凄惨な出来事については、すでにみなさんがご存知の通りである。

津波に飲み込まれた東北の沿岸部では,人間だけではなく,ペットとして買われていたたくさんの犬や猫も死んだと聞いている。哀れな話である。

さて、「お菊」のやつも、地震の時は妻の腕の中で猛烈に震え、妻に必死でしがみついていた。

けれど、その後の「お菊」は、いつもとまったく変わらない。日本中がこんなだというのに、「お菊」のやつだけが、まったく以前の通りなのである。

地震後も「お菊」は、いつものように眠り……いつものように食べ……いつものように排泄をし……いつものように窓の外を見張り……いつものように僕とふざけ……いつものように妻に甘え……いつものように日光浴をし……いつものように身体を舐め……僕たち夫婦の入浴時には,いつものように、例の「ニャーオーーーー!! ニャーオーーーー!!」を繰り返しているのだ。

以前の僕は、そんな「お菊」ののんきさが何となくむかつき、意味もなくいじめたり、睡眠の妨害をしたりしていた。「こっちがせっせと仕事をしている時に,お前ばっかりのんびりするんじゃねえ」という感じである。

けれど、どういうわけか、地震のあとでは、そういうふうには感じなくなった。

何と言うか……のんびりとしている「お菊」を見ていると,僕も心が和む気がするのだ。「お菊」だけが地震前のままで、それの姿を眺めていると安心するのだ。

そうなのだ。「お菊」には、もうなくなってしまった日常があるのだ。

そんなわけで、最近の僕はしばしば「お菊」を眺めています。そして、平和のありがたさを,しみじみと思っているのです。今まではそんなことは思いませんでしたが,猫って,見ていると本当に和みますね。にゃーお。

Diary list

Okikusama:150〜159
Okikusama:140〜149
Okikusama:130〜139
Okikusama:120〜129
Okikusama:110〜119
Okikusama:100〜109
Okikusama:90〜99
Okikusama:80〜89
Okikusama:70〜79
Okikusama:60〜69
Okikusama:50〜59
Okikusama:40〜49
Okikusama:30〜39
Okikusama:20〜29
Okikusama:10〜19
Okikusama:1〜9
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