97:家が寒い
僕たち夫婦は痩せこけているせいか、ふたりとも極端に寒さに弱い。寒くなると簡単に体調を崩し、極度の消化不良&食欲不振に見舞われる。
食べることとお酒を飲むことを最大の楽しみにしている僕たち夫婦にとって、「食べたいのに食べられない」「飲みたいのに飲めない」というのはとても辛いことである。よって、今までは寒くならないように、家の中をかなり暖かく保って来た。
だが、今年はそうはいかないのである。
それは、なぜか……理由はノボルが極端に暑がりだからだ。
名前の通り、ノルウェージャン・フォレストキャットはノルウェーが原産である。そのせいか、寒さにはめっぽう強い。ウィキペディアで検索すると、雪の中を歩くノルウェージャン・フォレストキャットの写真が載っているぐらいである。
だが、その代わり、暑いのは嫌いだ。というか、暖かいのも嫌いなのだ。
チンチラの「お菊」はノボルよりずっとふわふわ・もこもこの被毛に包まれている。だが、中東が原産ということもあってか、暑さには強い。そして、冬は僕たちと同じように寒がる。「お菊」はクールでべたべたとしない猫なのだが、冬の夜はいつも暖を取るために、僕たち夫婦と同じベッドで寝ている。
だが、ノボルはそういうわけにはいかないのだ。
ノボルは子犬のような性格で、いつも妻か僕にべったりとくっついている。猛烈に甘えっ子なのだ。だが、僕たちが部屋に暖房を入れると、とても迷惑そうな顔をし(ノボルは表情が豊かです)、そそくさと部屋を出て行く。その姿を見ると、少しかわいそうになる。
甘えん坊で、本当は妻の隣に潜り込んで寝たいくせに、ノボルにはそれができない。暑くてたまらないのだ。よって、ノボルは誰もいない寒い部屋の出窓で眠る(この出窓のそばは、本当に寒いです)。
今(11月29日午後8時半)も「お菊」はこのリビングルームのガスファンヒーターの吹き出し口のそばで、丸くなってぬくぬくとしている。今夜はとても寒い夜だ。さっきからは小雨も降り始めた。
それなのにノボルのほうは、玄関のたたきのテラコッタの上に寝そべり、冷たいドアに身体を押し付けている。本当はこのリビングルームに入って来たいのに、暖房のせいで、それができないのだ。
「スノーマンみたいね。何だかかわいそう」
妻が僕に言う。
というわけで、たった今、僕は立ち上がり、ノボルのためにガスファンヒーターを消した。同時に、まるで外出でもするかのように、ウールのカーディガンを羽織り、分厚いガウンをまとった。靴下も履いた。
妻も僕と同じように厚着を始め、膝掛けを用意している。
ノボルのほうは、僕たちが暖房を消したのがわかったようで、リビングルームに入って来た(ノボルを避けて、今度は「お菊」が出て行きました)。
というわけで……この冬の僕たちは、寒さと戦い続けることになりそうです。
窓辺で執筆をしていると、本当に冷えるんですよね。しかたがないから、ユニクロでヒートテックでも買おうかなあ。にゃーお。